認知症と家族の賠償責任

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家族に責任賠償請求 

認知症の男性が線路内に立ち入って電車に接触、死亡した事故がありました。この事故で路線運行に遅延損害が生じたため、鉄道会社は家族に死亡した男性の監督責任があるとして、電車の遅延損害の損害賠償を求め提訴しました。

家族は、高額の損害賠償金まで負担しなければならないのでしょうか。

裁判では、家族に監督責任はないとの判決がありましたが、それはその家族のことであって、一般的に「認知症の患者を介護する家族に監督責任が存在しない」となったわけではありません。

生活状況や介護実態などが総合的に考慮されて、責任を免じられるケースがあるということなので、今後、同様のことが起こった場合に、家族が責任を問われる可能性があります。

損害賠償請求の根拠

民法の定めにより、他人に損害を与えたときは賠償責任を負います。(民法709条)

ただし、加害者が子供だったり、精神上の障害があったりして、自分の行為が違法かどうかを認識できる能力(責任能力)が無い場合には、加害者は法的責任を問われません。(民法712条・713条)

この場合、責任無能力者を監督する法定の義務を負う人は、代わりに損害賠償責任を負うと定められています。(民法714条)

つまり、認知症などによる異常行動で他人に害を与えたときは、本人の監督義務者である親や配偶者、子供などの親族が、被害者への責任を負うことになる、というのが法律の建付けになっているのです。

もちろん、いかなる場合も、という訳ではなく、前述したように、生活状況や介護実態などが総合的に考慮されて、責任を免じられるケースもあります。

個人賠償責任保険

線路への立ち入りを例にあげましたが、日常生活の中で、認知症の影響で他人に迷惑をかけたり、損害を与える可能性は多々あると思われます。仕方がないと許してもらえる場合が多いと思いますが、常に損害賠償のリスクは存在します。

一つの対策としては「個人賠償責任保険」への加入です。

各損害保険会社のホームページで紹介されています。

保険金額は1億円や無制限など高額に設定しても、年間の保険料は数千円程度と安価です。一世帯に一契約、加入しておきたいものです。

加入する際は、「示談代行サービス」があった方が安心です。契約時に確認が必要です。

また、例にあげた線路への立ち入りについては「電車等運行不能賠償特約」が必要な場合もあります。契約時に確認が必要です。

自治体の支援

見守りサービス等の仕組みの一つとして、損害賠償保険に加入してくれたり、補助を実施している自治体もあります。

下のリンクは、大和市「はいかい高齢者等SOSネットワーク」です。他にも実施している自治体があります。