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在職老齢年金の仕組み

Last Updated on 2020年6月2日 by かつや

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在職老齢年金とは

在職老齢年金とは、厚生年金を受給している人が、会社等に勤務している間は、賃金の額に応じて本来の年金額の全額または一部を支給停止される制度です。

在職老齢年金を素直に読めば、「在職中にもらえる老齢年金」ですが、「在職中の老齢年金を減額する制度」と言った方が現実に即しているかもしれません。

この制度によって減額の対象になるのは、報酬比例分の年金だけです。老齢基礎年金には適用されません。この制度により年金の全額または一部が停止された場合には、将来、その分が戻ることはありません。

60歳を目前にした会社員と同僚との会話です。

「仕事をしていると年金を減らされるんだって?」

「うん、在職老齢年金って言うんだ」

「それって何さ」

「読んで字のごとし。在職している人の老齢年金って意味さ。あなたの年齢では63歳から報酬比例部分の厚生年金がもらえることになっている。だけど、お勤めを続けている場合には違う扱いをしますよってことだ。もっと簡単にいえば、収入があれば年金を減らすよってことさ。」

「読んで字のごとし、なんていい加減なことを言うなよ。在職老齢年金って言葉からは減らすよって連想できるわけないじゃん。」

「ま、あまりショックを与えてはいけないと思って、よく分からない表現をしているんじゃないかな。ストレートに言えば、 在職 している、つまり収入のある人の老齢年金を 減 額 する制度だ。」

「で、いくら減らされるんだよ。全然出ないのかよ。!!」

「オレに当たるなよ。えらい迷惑だな。ま、おおざっぱでよければ、説明するよ。」

「うん」

「年金の額と給料の額によるんだよ。60歳から65歳までの人であれば、年金と給料を足した金額が月に28万円を超えれば、年金は減らされる。」

「ええっ、何それ。厳しいなあ!!」

「給料はいくらになるの?」

「25万円だと言ってたよ社長が。ボーナスは無いって。」

「年金と合わせて28万は軽く超えるよね。ストライ〜ク!」

「社長から言われたとき、なんだそれ、低いなあと思ったんだけど、さらに年金が減らされるってか!!鬼だな!」

以下で少し詳しく説明します。

60歳から65歳未満の在職老齢年金

先に用語の説明をします。「基本月額」とは老齢厚生年金の年金額(加給年金額を除く)÷12、つまり、年金の月額と考えればよいでしょう。

次に、「総報酬月額相当額」ですが(標準報酬月額+直近1年間の賞与総額)÷12、つまり賞与込みの月給と考えればよいでしょう。

この「基本月額」と「総報酬月額相当額」によって、いくら減額されるか計算することができます。

(1)「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計額が28万円以下の場合
減額されません

(2)「総報酬月額相当額」が47万円以下で、「基本月額」が28万円以下の場合
(総報酬月額相当額+基本月額−28万円)÷2 の額が減額されます。

(3)「総報酬月額相当額」が47万円以下で、「基本月額」が28万円を超える場合
総報酬月額相当額÷2 の額が減額されます。

(4)「総報酬月額相当額」が47万円を超え、「基本月額」が28万円以下の場合
{(47万円+基本月額−28万円)÷2+(総報酬月額相当額−47万円)} の額が減額されます。

(5)「総報酬月額相当額」が47万円を超え、「基本月額」が28万円を超える場合
{47万円÷2+(総報酬月額相当額−47万円)} の額が減額されます。

計算した結果、年金支給月額がマイナスになる場合は、年金は全額支給停止となり、全額支給停止の場合は加給年金額も支給停止になります。

2022年4月から、在職老齢年金の60代前半の減額基準が現行の「月収28万円超」から65歳以上と同じ「月収47万円超」に引き上げられます。

65歳以上70歳未満の在職老齢年金

1.基本月額+総報酬月額相当額が47万円未満の場合は、全額支給されます。
2.基本月額+総報酬月額相当額の合計額が47万円を超えた場合は、超えた額の2分の1が支給停止となります。
3.老齢厚生年金が少しでも支給されれば、加給年金は全額支給されます。

70歳以上の在職老齢年金

70歳以上の在職老齢年金の支給額の調整などは、65歳以上の在職老齢年金と同じ仕組みです。

昭和12年4月2日以降生まれの人で、70歳以上の方が対象になります。ただし、平成19年4月1日に70歳以上の方は対象外です。

在職老齢年金が適用されないケース

在職老齢年金は、文字通り在職中の人に適用される制度ですが、正確に言えば「厚生年金の被保険者である」人に適用される制度です。

したがって、厚生年金の被保険者でなければ在職老齢年金は適用にならず、老齢厚生年金が減額されることはありません。

例えば、勤務日数および勤務時間が一般の従業員のおおよそ4分3(一部の会社では2分の1)より少ないときは通常は被保険者になりません。

つまり、一般の社員が月20日勤務のときに15日以内である場合、一般の社員が週40時間勤務のときに30時間以内のパート勤務である場合が該当します。個人事業主になった場合も同様です。