Last Updated on 2021年2月21日 by かつや
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自筆証書遺言とは
遺言にはいくつかの種類がありますが、一般的な遺言は自筆証書遺言です。
これは、遺言したい人が、自分で遺言書を書いて、押印するだけです。
民法に定められています。
民法第968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
この規定を守れば、有効な遺言書です。
自書とは
「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し」とあります。ワープロや代筆ではなく、自分で全部を手書きする必要があります。
録音、ビデオなどでは遺言としての法的な効力がありません。
パソコン等からプリントアウトしたものは自書とは認められないので、遺言書が無効になってしまいます。ただし、一部、パソコン等による作成が認められています。
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押印が必要
印を押さなければならない、とあります。
印は、必ずしも実印である必要はなく認印でも有効です。拇印でも有効という判決があるようです。しかし、あえてもめる材料をつくることはありません。なるべく実印を使用するべきでしょう。
訂正に用心
民法第968条2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
第2項は、書き間違えを訂正するときのルールです。
一般的な文書で用いられる横線を引いて印を押すというやり方ではありません。これには注意が必要です。
自筆証書遺言のメリット
なによりも作成が簡単なことです。費用がかかりません。公正証書遺言や秘密証書遺言のように2人以上の証人は必要ありません。公証役場に出かける必要もありません。有効性は他の遺言に劣りません。
自筆証書遺言のデメリット
不備がありがち
一般の人は遺言書についての専門的知識がないので、日付を忘れるなど、内容が不備である場合があります。その場合は、せっかくの遺言が無効になってしまいます。
ただし、無効といっても、それは法的な話しで、争いになったときに力を持たないという意味です。相続人達が、遺言書の形式に多少の不備があっても故人の遺志を尊重することを合意するのであれば、遺言内容は実施されます。
書いた人がしまっておくので、せっかく書いた遺言書が、出てこないまま、無いものとして扱われることがあります。なるべく、法務局の保管制度を利用して、保管してあることを家族に伝えておきましょう。
検認を受けなければならない
自筆証書遺言が見つかったら開封しないで家庭裁判所に提出して「検認」を受ける必要があります。検認という手続きをしなければ有効になりません。
封入し封印する
そのため、自筆証書遺言は、封入、そして封印をする必要があります。
封筒はどんな封筒でもかまいません。遺言書を中に入れて封をし、遺言書に押印した印と同じ印を封の境目に押印します。
封筒の表に遺言書と記載し、封筒の裏には、封印だけでなく、「この遺言書は開封せずに家庭裁判所で検認の手続きをすること」と記載し、作成日を記載し、さらに署名捺印をしておくと良いでしょう。
なお、封筒に入れていない遺言書や、封印をしていない遺言書であっても、ただちに無効になるわけではありません。
保管制度を利用すると違う
法務局の保管制度を利用している場合は検認が不要です。
また、保管してもらうときは封をしてあればだめです。そもそも封筒自体がいりません。
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