自筆証書遺言は法務局に預ってもらえる

Last Updated on 2021年2月20日 by かつや

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国が遺言書を保管する制度

自筆証書遺言は国の保管制度を利用することができます。

保管の窓口は、遺言保管所です。これは法務局の中にあります。

遺言者は法務局に出頭して自筆証書遺言の保管を申請することができます。代理人の申請はできません。法務局が中身を確認するため、遺言書は封をしないで提出します。

提出された自筆証書遺言は、法律上の要件を形式的に満たしているかの確認が行われ、画像データとして記録され、原本は法務局に保管されます。

保管をしてもらう効果

法務局が保管した自筆証書遺言は検認手続きが不要です。

検認というのは、家庭裁判所で遺言書を確認する手続きです。自分で保管していた自筆証書遺言は検認を受けなければなりません。検認を受ける前に開封すると法律により罰則があります。

保管してもらうと遺言が紛失してしまう心配がありません。書き替えられる心配がありません。

遺言書保管の手続き

法務局に預ってもらえる、と書いていますが、正式には「遺言書保管所」といいます。遺言書保管所は法務局の中にあります。この記事で「法務局」と書いているのは遺言書保管所のことです。

保管の申請をする手続き

遺言書を保管してもらう手続きは以下のようになります。

遺言書を作成します。
関連記事:自筆証書遺言のサンプル

窓口に行く準備をします。
1.窓口に行く前に申請書の記入をすませておきましょう。様式は法務省HPからダウンロードするか、法務局に行ってもらってきます。
2.下に列記した添付書類等を準備します。

保管してもらう遺言書保管所を決めます。
(保管の申請ができる遺言書保管所は、遺言者の住所地、遺言者の本籍地、遺言者が所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する遺言書保管所です。)

以下のいずれかの方法で遺言書保管所の予約をとります。
・法務局手続案内予約サービスの専用ホームページからの予約
・法務局に電話して予約
・法務局の窓口で予約

予約した日時に、遺言書と申請書、添付書類を持参します。

□ 遺言書(ホチキス止めはしない。封筒は不要)
□ 申請書(あらかじめ記入して持参する)
□ 本籍の記載のある住民票の写し等(作成後3ヶ月以内)
□ 翻訳文(遺言書が外国語で記載されているとき)
□ 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、運転経歴証明書、旅券、在留カード 特別永住者証明書等)
□ 手数料(1通につき3900円)
□ 相続人等に対する死亡時の通知を希望する場合は、別紙申請書に記入してあわせて提出します。

遺言保管所では、自筆証書遺言の外形的な確認を行います。法律上の不備があれば指摘されます。ただし、遺言の内容についてはノータッチで、相談も受け付けません。

保管証が発行されます。

保管証には、遺言者の氏名、出生の年月日、遺言書保管所の名称及び保管番号が記載されています。

これは、遺言書の閲覧、保管の申請の撤回、変更の届出をするときや、相続人等が遺言書情報証明書の交付の請求等をするとき必要です。

保管証を、相続人の一人(遺言執行者を決めているときは遺言執行者)に預けておくとよいでしょう。保管証があっても被相続人が亡くなる前に内容を見られる心配はありません。

預けた遺言書を見る手続き

下書きを紛失したなどで、どのような内容の遺言書を預けたか見たくなったときは、「遺言書の閲覧」をすることができます。

遺言書の閲覧は、書いた本人でなければできません。

閲覧の方法は、画面モニターによる遺言書の画像の閲覧、又は、遺言書の原本の閲覧です。

閲覧の請求をする遺言書保管所を決めます。
(画面モニターで閲覧する場合は全国どこの法務局でも見ることができます。原本を見たいときは、自分が預けた法務局に行かなければなりません。)

窓口に行く準備をします
1.窓口に行く前に請求書の記入をすませておきましょう。様式は法務省HPからダウンロードするか、法務局に行ってもらってきます。
2.遺言者の本人確認のため、運転免許証等、顔写真付きの身分証明書を持参しなければなりません。
3.手数料が必要です。モニターによる閲覧の手数料は、1回につき1,400円です。遺言書の原本の閲覧の手数料は、1回につき1,700円です。収入印紙を手数料納付用紙に貼ります。

以下のいずれかの方法で遺言書保管所の予約をとります。
・法務局手続案内予約サービスの専用ホームページからの予約
・法務局に電話して予約
・法務局の窓口で予約

請求書と手数料を窓口に提出します
(このとき本人確認用の運転免許証等を提示してください)

指定された閲覧場所で閲覧します。

預けた遺言書を返してもらう手続き

遺言書を保管してもらったものの気が変わって返してもらうときは、保管撤回の手続きをします。

保管撤回を申し出できるのは遺言書を預けた法務局です。

窓口に行く準備をします
1.窓口に行く前に撤回書の記入をすませておきましょう。様式は法務省HPからダウンロードするか、法務局に行ってもらってきます。
2.本人確認のための運転免許証等の顔写真付きの身分証明書を準備します。
3.保管してもらってから遺言者の氏名、住所等に変更が生じている場合には、変更が生じた事項を証する書面を添付する必要があります。

以下のいずれかの方法で遺言書保管所の予約をとります。
・法務局手続案内予約サービスの専用ホームページからの予約
・法務局に電話して予約
・法務局の窓口で予約

撤回書を窓口に提出します。手数料はかかりません。
(このとき本人確認用の運転免許証等を提示してください)

遺言書が返還されます。

保管の申請の撤回ができるのは原則として遺言した本人のみです。

保管後の変更事項を届け出る手続き

保管の申請時以降に氏名、住所等に変更が生じたときには、その旨を届け出る必要があります。

変更手続きができるのは遺言書を預けた法務局です。

届出ができる人は、遺言者本人、または本人の親権者や成年後見人等の法定代理人です。

窓口に行く準備をします。
1.窓口に行く前に届出書の記入をすませておきましょう。様式は法務省HPからダウンロードするか、法務局に行ってもらってきます。
2.本人確認のための運転免許証等の顔写真付きの身分証明書を準備します。コピーを用意します。
3.変更が生じた事項を証する書面を添付する必要があります。住民票の写し、戸籍謄本等です。
4.法定代理人が届出する場合は、作成後3か月以内の戸籍謄本(親権者)又は登記事項証明書(後見人等)が必要です。
5.遺言者本人以外の氏名、住所等に変更が生じた場合には、添付書類は不要です。ただし、住民票等で確認して正確に記載しましょう。

以下のいずれかの方法で遺言書保管所の予約をとります。
・法務局手続案内予約サービスの専用ホームページからの予約
・法務局に電話して予約
・法務局の窓口で予約

届出書を窓口に提出します。手数料はかかりません。
(このとき本人確認用の運転免許証等を提示してください)

死亡時の通知を受ける手続き

法務局(遺言書保管所)に遺言書を保管してもらっても、相続人らがそのことを知らなければ、遺言者が亡くなったときに遺言書を活かしようがありません。

そこで、遺言書を預けた遺言者が亡くなったときに、法務局から遺言書が保管されている旨の通知がくる仕組みがあります。

この通知は、遺言者が遺言書を預ける際に「死亡時の通知の申出」をした場合に実施されます。

死亡時の通知の申出をしていなければ通知は送られません。

死亡時の通知の申出をすると、遺言者の氏名、出生年月日、本籍、筆頭者の情報が法務局から市区町村の戸籍担当課に提供され、遺言者本人の「死亡届」が市区町村に提出されると、市区町村から法務局に死亡の旨の情報が提供されます。

法務局は、市区町村からの情報提供を受けて、あらかじめ遺言者が指定していた連絡先に通知します。

連絡先は、相続人等のうち1名しか登録できません。

この死亡時の通知は、令和3年度以降頃から本格的に運用が開始されることになっています。

せっかく保管してもらうなら通知がくるようにした方がよいですね。

遺言については、素人判断をしないことが重要だと思います。遺言についての専門家は、司法書士、弁護士です。複雑なケースでは、少々お金がかかっても専門家の助力を得た方がよいでしょう。