遺贈の場合の所有権移転登記

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遺贈とは

遺贈とは、遺言で贈与するという意味です。一般的には、遺言者が相続人以外の第三者に、財産を贈与する場合に利用されます。

遺贈とは

不動産の所有権移転登記

遺言書に不動産を遺贈する旨の記載があれば、財産をもらった受遺者名義に不動産の名義を変更しなければなりません。

これを遺贈による所有権移転登記といいます。

相続による所有権移転登記と違うところがあります。

相続による所有権移転登記は、相続人が単独で申請できますが、遺贈は、受遺者が単独で申請することができず、遺言者の相続人全員もしくは遺言執行者と共同申請をしなければなりません。

ただし、遺言書の中で、財産をもらう受遺者自身が遺言執行者に指名されている場合は、登記権利者たる受遺者及び登記義務者たる遺言執行者として1人で登記の申請が可能です。

遺言執行者が指名されていなければ、原則的に遺言者の相続人全員が登記義務者として関与しなければならないので、相続人が遠方にいるなどで、全員の関与が難しい場合は、家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらうこともあります。

遺言執行者

遺言書になんと書いてあるか

相続人全員に対して、相続財産の全部を包括的に「遺贈する」と書いた場合は、相続財産全部を受ける者が相続人だけなので、遺言書の文言が「遺贈」でも、登記原因は「相続」になります。

遺言書に「孫に相続させる」と書いた場合は、孫は相続人ではないので登記原因は「遺贈」になります。

いずれにしても、相続人に対して「遺贈する」という遺言を残せば、登記原因も原則的に「遺贈」となります。手続きを煩雑にするだけです。相続人に対しては「相続させる」と記載し、相続人以外の第三者に「遺贈する」と記載するようにしましょう。

遺贈の登記に必要な書類

□ 遺言書(自筆証書遺言は家庭裁判所で検認済のもの)

□ 遺言者が死亡した記載のある戸籍謄本(除籍謄本)

□ 遺言者の住民票の除票もしくは戸籍の附票

□ 相続人全員の戸籍謄本または遺言執行者選任の審判書

□ 当該不動産の登記済証もしくは登記識別情報

□ 相続人全員の印鑑証明書または遺言執行者の印鑑証明書

□ 受遺者の住民票

□ 固定資産税評価証明書または固定資産税の納税通知書

□ 運転免許証などの身分証明書

遺贈の登記は司法書士に依頼するのが確実です。

遺贈登記の登録免許税

遺贈による所有権移転に伴う登録免許税の税率は、原則的に贈与の場合と同じく、固定資産税評価額の2%(1000分の20)です。

ただし、受遺者が遺言者の法定相続人である場合には、相続登記と同じ0.4%(1000分の4)に軽減されます。

この適用を受けるためには、受遺者が相続人であることを証明するために戸籍謄本を提出する必要があります。

遺留分ももらえないようになっていたら

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対抗手段は遺留分侵害額請求

財産を残す被相続人は、遺言することで誰にいくら残すかを決めることができます。ただし、全く自由に決めれるのではなく、法定相続人に対しては、一定の割合を残してやらなければなりません。これを遺留分といいます。

遺留分について

遺言書の内容が遺留分を侵害していても、侵害された当人が、そのことを受け入れるのであれば、その遺言書に沿った相続手続きが行われます。

納得できないのであれば、遺留分権利者は、その侵害額に相当する金銭の支払を請求することできます。

これを遺留分侵害額の請求といいます。

他の相続人に対して請求する

遺留分侵害額の請求は、他の相続人に対して行います。

口頭でも請求したことになりますが、証拠が残りません。請求したことを明確にするために、配達証明付きの内容証明郵便によって請求した方がよいでしょう。

この請求に対して、相続人が話し合って合意ができれば、合意書を作成します。

当事者間で話合いがつかない場合や話合いができない場合には、家庭裁判所の調停手続に進むことができます。

家庭裁判所に調停を申し立てる

話し合いで解決できなかった場合は、調停を申立てるのが良いでしょう。

調停とは家庭裁判所での調停委員等を交えた話し合いです。

費用は、1,200円分の収入印紙+連絡用の郵便切手数千円分程度です。

分割協議がまとまらないときは調停に

裁判所に民事訴訟を起こす

内容証明や調停にも応じない場合は、被相続人の最後の所在地を管轄する地方裁判所か簡易裁判所に訴状を提出して裁判をすることができます。

遺留分は法律に定められた権利ですから、認められる可能性が髙いでしょう。裁判にする場合は、費用はかかりますが弁護士に依頼した方がよいでしょう。

遺留分侵害額請求権は、相続の開始及び贈与又は遺贈があったことを知ったときから、1年間行使しないと時効により消滅してしまいます。

遺留分侵害額請求権の時効はたった1年です。身内の間で金銭を請求するということへの遠慮や抵抗感でためらっているとあっという間に時効になってしまいます。

また、相続等が開始されたことを知らなかった場合にも、相続の開始のときから10年を経過した場合には遺留分の権利が消滅します。

遺留分は金銭で請求する

以前は、遺留分権利者が請求権を行使した場合には、現物返還が原則でした。例えば、持ち家、自社株式や事業用資産についても、これらの財産が他の相続人との共有となり、共有関係の解消をめぐって問題がこじれ、円滑な事業承継の障害となることもありました。

現在は、遺留分権利者及びその承継人が受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭を請求することになっています。これにより、金銭支払いは生じるものの、事業承継に不可欠な自社株式や事業用資産自体は後継者に承継しやすくなるものと考えられています。

金銭を請求されてもすぐに準備できない場合は、裁判所に「期限の許可」を求めて、支払を延期してもらうことができます。

遺言書の一部はパソコンで作ってよい

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財産目録の部分はパソコン作成可

自筆証書遺言は気軽に書ける半面、書き方の不備があれば無効になるので、気をつかうし作成の時間がかかります。

無効になってしまう遺言書

自筆証書遺言は原則として自書しなければならないことになっており、自書はあくまでも自分の手で書くことで、パソコン等からプリントアウトしたものは自書とは認められないので、そのような遺言書は無効になってしまいます。

しかし、一部についてはパソコン等による作成が認められています。

財産目録の部分です。

民法第968条(抜粋)
自筆証書にこれと一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。

相続や遺贈をさせる財産に関しての記述部分を別紙という扱いで財産目録とする場合、その別紙をパソコン等で作成することが可能です。

また、財産目録をパソコン等で作成しなくても、預金通帳のコピーや不動産の登記事項証明書等を添付して添付して、別紙の相続財産リストとすることも認められます。

複数の不動産などを所有している人や多くの金融機関で預貯金や株式を持っていたりする人は、自筆証書遺言がだいぶ楽になります。

注意しなければならないことは、パソコン等やコピーの添付で作った財産目録は、全てのページに本人の署名と押印が必要です。これを怠ると、遺言書そのものが無効になる可能性があります。用紙の両面にデータが印字されている場合は紙の両面に署名と押印が必要です。

無効になってしまう遺言書

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せっかく遺言書を作成しても、要件を満たしていなければ無効になってしまいます。自筆証書遺言で遺言を残すときは十分注意しましょう。

遺言書に日付がない

日付を記載していないと無効です。

記載していても、遺言作成の日ではない日付だという根拠がでてくれば無効になります。

一部を省略すると無効になることがあります。月日だけで年の記載がないもの、年月だけで日の記載がないものは無効です。

令和2年吉日も無効です。70歳の誕生日、何年の大晦日の夜、なども避けましょう。

令和2年3月3日、西暦2020年3月3日というように記載するべきものです。

日付のスタンプ等も無効です。

遺言書に押印がない

自筆証書遺言は、「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない(民法第968条)」とされています。

押印がないと無効になります。

実印である必要はなく、認印、拇印でも有効ですが、争いの元にならないように実印による押印がよいとされています。

遺言者の手が不自由であったり、病気の容態によっては、押印をすることが困難なこともあります。誰かが代わって押印すると無効になります。このようなときは、公正証書遺言にするべきでしょう。

遺言書が自書でない

自筆証書遺言は、「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない(民法第968条)」とされています。

自書でないと無効になります。

自書とは、遺言者が文字を知り、これを自分で運筆することです。

他人が書けば無効です。

パソコンで作成した遺言書、録音、録画による遺言も同様に無効です。

ただし、財産目録の部分だけはパソコン等による作成が認められています。

遺言書の一部はパソコンで作ってよい

問題になるのは、病気等の事情で手が震える状態になり、ひとりでは文字を書くことが難しい場合に、他人が手を添えて書いた遺言です。

「軽く支える程度の添え手」は良いという判例がありますが、筆記に困難を覚える場合は公正証書遺言にするべきでしょう。

公正証書遺言ならば、遺言内容を遺言者が公証人に言葉で伝えればよく、書く必要がないためです。

加筆修正の方式が違う

書き間違いの訂正や追加する場合は法律が定めた方式があり、守らないと無効となります。

民法968条2項で自筆証書遺言の訂正方法が定められています。

民法第968条2項
自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

具体的には遺言書の訂正方法は次のようになります。

□ 遺言者自身が自筆で訂正すること
□ 変更の場所を指示して、変更したことを付記すること
□ 付記した部分に署名すること
□ 変更した場所に押印すること

これらを守らずになされた加除訂正は無効になり、加除訂正がなかったものとして扱われます。

自筆証書遺言の訂正方法は特に厳密に決まっています。訂正の方式が少し違っても認められないので、訂正や追加がある場合は最初から書き直す方が無難です。

内容が明確でない

相続する財産の内容が不明確な遺言書は無効になります。

不動産は登記簿謄本通りに正確に記載しなければなりません。

預貯金は金融機関の支店名、預金の種類や口座番号まで記載する必要があります。

強要された遺言は無効

被相続人を騙したり脅迫するなどして、自分の有利に書かせた遺言書も当然ながら無効となります。

共同して書いた遺言は無効

夫婦などが連名で作成した遺言書は無効です。

相続人の遺留分を配慮する。

相続人には遺留分という最低限これだけは受け取れるという権利があります。遺留分を無視した遺言書は、遺言書自体が無効になるわけではありませんが、権利を侵害された相続人は侵害分を取り戻すことができます。

遺留分について

遺言書は要件を満たしていれば、法定相続よりも強い効果を発揮します。書き方や内容等に不明点がある場合には、弁護士、司法書士などの専門家に相談しましょう。

遺言書の検認について

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遺言書は発見されなければ意味がない

せっかく遺言書を書いても、発見されなければ意味がありません。

場所としては、自分がいつも使っている机の引き出し、普段から大事なものを入れている金庫など、遺族がまず目を通すであろう場所がよいでしょう。

また、遺言書があることを全く秘密にしておくのはなるべく避けましょう。信頼できる人には話しておくべきでしょう。

勝手に開封されないようにしよう

遺言書が見つかったときは、たとえ相続人であっても勝手に開封してはいけないことになっています。

未開封のまま、家庭裁判所に持って行って、検認の手続きをしなければならないのです。

遺言書の検認とは、遺言書の発見者や保管者が家庭裁判所に遺言書を提出して、相続人などの立会いのもとで、遺言書を開封し、遺言書の内容を確認する手続きです。

しかし、深く考えずに発見者や相続人が開封してしまうことがあります。

間違いが起こらないように、遺言書を入れた封筒に「この遺言書は勝手に開封してはいけません。必ず、家庭裁判所に提出して検認を受けてください。」という趣旨の表書きを書いておきましょう。

検認を受けなければならないのは、自筆証書遺言と秘密証書遺言です。開封してしまったとしても、家庭裁判所に持って行かなければなりません。

公正証書遺言は、公証人が作成しているので、検認手続きをする必要はありません。

自筆証書遺言

秘密証書遺言

公正証書遺言

検認の手続き

検認を行うには、以下の書類を揃えて、被相続人の最後の住所地管轄の家庭裁判所に申立手続をします。

□ 遺言書の原本
□ 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(原本)
□ 相続人全員の戸籍謄本
□ 相続人全員の正確な住所がわかるもの(住民票等)
□ 被相続人の正確な最後の住所がわかるもの(除住民票等)

申立後、家庭裁判所から検認期日(検認する日)の通知が申立人と相続人全員にきます。

申立人はその日に裁判所へ行かなければなりませんが、それ以外の相続人の出席は義務ではありません。相続人全員が出席しなくても、検認手続きは行われます。

検認期日に、家庭裁判所に申立人や相続人が出廷し、遺言書の開封・検認を行い、申立人が検認済証明書のついた遺言書を受け取り、検認手続きは完了します。

申し立てから検認が終わるまで平均2ヶ月程度かかっているようです。検認が終わるまでは遺産を分けることができません。

一方、公正証書遺言の場合、検認を受ける必要がないため、相続開始後、速やかに遺言の内容を実現することができます。

さらに、原本が公証役場に保管されているので遺言書が破棄されたり、隠匿や改ざんをされたりする心配がありません。

どうせ遺言を残すのであれば、費用はかかりますが公正証書遺言の方が安心です。

遺言書の存在照会

公正証書遺言と秘密証書遺言については、遺言書が存在するかどうか、日本公証人連合会の「遺言書検索システム」で調べることができます。

次の書類を用意したうえで最寄りの公証役場に行って申請します。

□ 死亡を証明する書類(死亡届、戸籍謄本のコピーなど)
□ 相続関係を証明する書類(戸籍謄本)
□ 手続きする人の本人確認書類(運転免許証など)