遺留分ももらえないようになっていたら

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対抗手段は遺留分侵害額請求

財産を残す被相続人は、遺言することで誰にいくら残すかを決めることができます。ただし、全く自由に決めれるのではなく、法定相続人に対しては、一定の割合を残してやらなければなりません。これを遺留分といいます。

遺留分について

遺言書の内容が遺留分を侵害していても、侵害された当人が、そのことを受け入れるのであれば、その遺言書に沿った相続手続きが行われます。

納得できないのであれば、遺留分権利者は、その侵害額に相当する金銭の支払を請求することできます。

これを遺留分侵害額の請求といいます。

他の相続人に対して請求する

遺留分侵害額の請求は、他の相続人に対して行います。

口頭でも請求したことになりますが、証拠が残りません。請求したことを明確にするために、配達証明付きの内容証明郵便によって請求した方がよいでしょう。

この請求に対して、相続人が話し合って合意ができれば、合意書を作成します。

当事者間で話合いがつかない場合や話合いができない場合には、家庭裁判所の調停手続に進むことができます。

家庭裁判所に調停を申し立てる

話し合いで解決できなかった場合は、調停を申立てるのが良いでしょう。

調停とは家庭裁判所での調停委員等を交えた話し合いです。

費用は、1,200円分の収入印紙+連絡用の郵便切手数千円分程度です。

分割協議がまとまらないときは調停に

裁判所に民事訴訟を起こす

内容証明や調停にも応じない場合は、被相続人の最後の所在地を管轄する地方裁判所か簡易裁判所に訴状を提出して裁判をすることができます。

遺留分は法律に定められた権利ですから、認められる可能性が髙いでしょう。裁判にする場合は、費用はかかりますが弁護士に依頼した方がよいでしょう。

遺留分侵害額請求権は、相続の開始及び贈与又は遺贈があったことを知ったときから、1年間行使しないと時効により消滅してしまいます。

遺留分侵害額請求権の時効はたった1年です。身内の間で金銭を請求するということへの遠慮や抵抗感でためらっているとあっという間に時効になってしまいます。

また、相続等が開始されたことを知らなかった場合にも、相続の開始のときから10年を経過した場合には遺留分の権利が消滅します。

遺留分は金銭で請求する

以前は、遺留分権利者が請求権を行使した場合には、現物返還が原則でした。例えば、持ち家、自社株式や事業用資産についても、これらの財産が他の相続人との共有となり、共有関係の解消をめぐって問題がこじれ、円滑な事業承継の障害となることもありました。

現在は、遺留分権利者及びその承継人が受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭を請求することになっています。これにより、金銭支払いは生じるものの、事業承継に不可欠な自社株式や事業用資産自体は後継者に承継しやすくなるものと考えられています。

金銭を請求されてもすぐに準備できない場合は、裁判所に「期限の許可」を求めて、支払を延期してもらうことができます。

無効になってしまう遺言書

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せっかく遺言書を作成しても、要件を満たしていなければ無効になってしまいます。自筆証書遺言で遺言を残すときは十分注意しましょう。

遺言書に日付がない

日付を記載していないと無効です。

記載していても、遺言作成の日ではない日付だという根拠がでてくれば無効になります。

一部を省略すると無効になることがあります。月日だけで年の記載がないもの、年月だけで日の記載がないものは無効です。

令和2年吉日も無効です。70歳の誕生日、何年の大晦日の夜、なども避けましょう。

令和2年3月3日、西暦2020年3月3日というように記載するべきものです。

日付のスタンプ等も無効です。

遺言書に押印がない

自筆証書遺言は、「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない(民法第968条)」とされています。

押印がないと無効になります。

実印である必要はなく、認印、拇印でも有効ですが、争いの元にならないように実印による押印がよいとされています。

遺言者の手が不自由であったり、病気の容態によっては、押印をすることが困難なこともあります。誰かが代わって押印すると無効になります。このようなときは、公正証書遺言にするべきでしょう。

遺言書が自書でない

自筆証書遺言は、「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない(民法第968条)」とされています。

自書でないと無効になります。

自書とは、遺言者が文字を知り、これを自分で運筆することです。

他人が書けば無効です。

パソコンで作成した遺言書、録音、録画による遺言も同様に無効です。

ただし、財産目録の部分だけはパソコン等による作成が認められています。

遺言書の一部はパソコンで作ってよい

問題になるのは、病気等の事情で手が震える状態になり、ひとりでは文字を書くことが難しい場合に、他人が手を添えて書いた遺言です。

「軽く支える程度の添え手」は良いという判例がありますが、筆記に困難を覚える場合は公正証書遺言にするべきでしょう。

公正証書遺言ならば、遺言内容を遺言者が公証人に言葉で伝えればよく、書く必要がないためです。

加筆修正の方式が違う

書き間違いの訂正や追加する場合は法律が定めた方式があり、守らないと無効となります。

民法968条2項で自筆証書遺言の訂正方法が定められています。

民法第968条2項
自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

具体的には遺言書の訂正方法は次のようになります。

□ 遺言者自身が自筆で訂正すること
□ 変更の場所を指示して、変更したことを付記すること
□ 付記した部分に署名すること
□ 変更した場所に押印すること

これらを守らずになされた加除訂正は無効になり、加除訂正がなかったものとして扱われます。

自筆証書遺言の訂正方法は特に厳密に決まっています。訂正の方式が少し違っても認められないので、訂正や追加がある場合は最初から書き直す方が無難です。

内容が明確でない

相続する財産の内容が不明確な遺言書は無効になります。

不動産は登記簿謄本通りに正確に記載しなければなりません。

預貯金は金融機関の支店名、預金の種類や口座番号まで記載する必要があります。

強要された遺言は無効

被相続人を騙したり脅迫するなどして、自分の有利に書かせた遺言書も当然ながら無効となります。

共同して書いた遺言は無効

夫婦などが連名で作成した遺言書は無効です。

相続人の遺留分を配慮する。

相続人には遺留分という最低限これだけは受け取れるという権利があります。遺留分を無視した遺言書は、遺言書自体が無効になるわけではありませんが、権利を侵害された相続人は侵害分を取り戻すことができます。

遺留分について

遺言書は要件を満たしていれば、法定相続よりも強い効果を発揮します。書き方や内容等に不明点がある場合には、弁護士、司法書士などの専門家に相談しましょう。

子供がいない夫婦の相続は妻に全額ではない

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全部妻が相続できるという思い込みは危険

自分達には子供がいないから、亡くなった後の財産は全部妻にいくだろう、という思い込みは危険です。

子がいない夫婦の相続は、次のようなパターンになります。

1.親が健在なら親が3分の1、配偶者が3分の2を相続。

2.親は既にいない場合で、兄弟姉妹がいれば兄弟姉妹に4分の1、配偶者が4分の3を相続。

上の2の場合、兄弟姉妹で亡くなった人がいれば、その子、つまり、甥や姪に権利が引き継がれます。

つまり、親も兄弟も甥も姪もいない場合だけ、配偶者が全てを相続することができます。兄弟や甥や姪にも相応に相続させたいなら構いませんが、配偶者に全部相続させたいと思う人も多いでしょう。

その場合は、きちんと遺言を残しましょう。兄弟姉妹および、甥や姪には遺留分がないので、遺言が優先し、配偶者に全部残すことができます。(親が存命であれば、親には遺留分があるので、遺言を残しても遺留分に限っては請求されると認めざるを得なくなります。)

遺留分について

ただし、正式な遺言でないとせっかく書いても効力を発揮できないことがあります。法律上、遺言と認められる遺言書を書きましょう。

遺言について

甥や姪の代に移っていると遠方にいることが多く、音信がない場合もあります。また、相続人になった兄弟姉妹や甥姪の一人でも遺産分割協議に非協力的で、なかなかハンコを押してくれないこともあります。いずれの場合も、夫名義の預金がいつまでも凍結されたままになりとても困ることになります。

いずれ妻も後を追う

なお、首尾よく妻に全部相続させることができたとして、その後に問題が生じることがあります。

残った妻が亡くなったとき、子が無いのですから、妻が所有している財産は、妻が亡くなったときは、妻の兄弟または甥姪に行きます。先に亡くなった夫の兄弟甥姪には全く残りません。

先に亡くなった夫が、親から引き継いだ財産を多く持っている(例えば長男ということで家屋敷を受けついていた場合)などの場合、夫側の親戚が不満を言う事があります。

財産だけでなく、墓や先祖祭祀の問題がからむ場合もあります。妻が、自分の兄弟だけに譲るのは心苦しいと思うのであれば、やはり遺言を残す必要があります。

遺言書の証人について

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公正証書遺言では証人が必要

公正証書遺言では2名以上の証人が必要です。

証人は、遺言者が自分の意思で遺言して、その内容を公証人が正確に遺言書に記載していることを確認します。

ですから、公正証書を作成している間、ずっと立ち会う必要があり、一時的にでも途中で抜けることは許されません。また、立ち合いですから、遺言書の内容等に口を出すことはできません。

証人は、遺言公正証書の原本に署名捺印をします。

証人になれない人がいます

1.未成年者は証人になれません。
2.推定相続人(遺言者が亡くなったら相続人になれる立場にある人)、受遺者(遺言により財産を貰う人)及びその配偶者並びに直系血族は証人になれません。
3.公証人の配偶者、四親等内の親族等は、遺言者に何らかの影響を与える可能性があるので証人になれません。

上記の証人になれない人が、証人としてではなく、単にその場にいただけでもその遺言は無効になるとされています。必ずしもそうではないという説もありますが、用心に越したことはありません。

4.証人には、そこで行われていることを正確に理解する能力が求められます。何かの資格がいるわけではありませんが、誰もが理解力に疑問を持つような人を証人にすると争いの元になります。

5.署名は、遺言者本人については、病気等の場合は代書が可能ですが、証人に関しては代書を認める規定がありません。何らかの事情で署名ができない人は証人になれません。

証人が見つからないとき

証人についていろいろな条件があるので、長年の付き合いがある信頼できる友人がいればよいのですが、すぐには適当な証人を探せない場合もあります。

そういうときは、若干の費用がかかりますが、公証役場で証人を手配してくれます。また、行政書士事務所、司法書士事務所等でも相談にのってくれます。

秘密証書遺言について

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秘密証書遺言の作り方

遺言書を作成して封入する

秘密証書遺言は、本人が自分で遺言書を作成して、それに署名捺印したうえで封入し、その封書を中に入れた遺言書に押した印と同じ印鑑で封印(封の継ぎ目に押印すること)します。ここまでは自筆証書遺言と同じです。

自筆証書遺言の場合は、遺言書の本文と署名すべてを自署する必要がありますが、秘密証書遺言は署名だけを自署していれば、遺言書の本文はワープロで作成しても問題ありません。誰かに書いてもらうことも可能です。

ただし、念のために、自筆証書遺言の条件を満たすような書き方をした方がよいでしょう。

証人2人と公証役場に行く

遺言書を作成し、封入し封印したら、2人以上の証人と一緒に公証役場に行き、その封書について、自分の遺言書であること、氏名および住所を申述し、公証人がその封書に日付と遺言者の申述を記載し、さらに、遺言者と公証人、証人が署名捺印します。この辺りは、公正証書遺言の手続きに似ています。

証人とともに公証役場に行くなど、公正証書遺言の作成に近い手続きをしますが、自分が作成して封入しているので、公証人も証人も内容を知ることができません。

内容を秘密にできるので秘密証書遺言といいます。

遺言書を持ち帰り保管する

秘密証書遺言は公証役場では保管しません。秘密証書遺言の保管は自分でしなければなりません。

公証役場には、秘密証書遺言を作成したという記録が残ります。

また、この遺言状を発見した人、または、保管していた人は、自筆証書遺言と同じように、家庭裁判所に提出して検認を受けなければいけません。

家庭裁判所で検認を受ける

遺言書を見つけた場合、相続人であっても勝手に開封してはいけません。家庭裁判所で検認を受ける必要があります。

検認を行うには、以下の書類を揃えて、被相続人の最後の住所地管轄の家庭裁判所に申立手続をします。

① 遺言書の原本
② 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(原本)
③ 相続人全員の戸籍謄本
④ 相続人全員の正確な住所がわかるもの(住民票等)
⑤ 被相続人の正確な最後の住所がわかるもの(除住民票等)

申立後、家庭裁判所から検認期日について申立人と相続人全員に通知がきます。

検認期日に、家庭裁判所に申立人が出廷し、遺言書の開封・検認を行い、申立人が開封済みの遺言書を受け取り、完了します。

申し立てから検認が終わるまで平均2ヶ月程度かかっているようです。検認が終わるまでは遺産を分けることができません。

秘密証書遺言のメリット

秘密証書遺言のメリットは、その内容を誰に対しても秘密にできることです。公証人や証人にも知られたなくないという事情がある場合に利用できます。

証人は遺言の内容は知りませんが、遺言が存在することを知ることになります。したがって、遺言があることを言い残さなくても、本人の死亡を聞いた証人が、遺言書の存在を遺族に教えることが期待できます。

秘密証書遺言のデメリット

公証役場に行くこと、証人が必要であることについては、公正証書遺言と同じ手間がかかります。

さらに公正証書遺言であれば、遺言書は公証人が作成してくれますが、秘密証書遺言は自分で作成しなければなりません。

せっかく公証役場に行っても、文面をチェックしてもらう機会がないので、不備があったとしても訂正はされないのです。

公正証書遺言と違って、検認を受ける必要があります。相続開始後、速やかに遺言の内容を実現することができません。

そもそも、遺言しようとするときに、公証人や証人にまで秘密にする必要があるケースは少ないと思われ、手続きも手間がかかるので、利用する人は少ないようです。

勝手に開封されたらどうなるか

秘密証書遺言は、勝手に開封せず、家庭裁判所で検認の手続きをしなければならないことになっていますが、発見した人が開封してしまうかもしれません。

開封してしまったとしても、速やかに、家庭裁判所に検認の申立てが必要です。

遺言書を開封してしまっても遺言の内容自体は無効にはなりません。開封した人は、たとえ検認のことを知らなかったとしても法律違反となります。場合によっては何らかの罰則があるかもしれません。

開封してしまったからと検認の手続きをしなければ、遺言内容に納得しない人がいれば、無効の主張の材料の一つになります。

また、検認していない遺言書だと、預金や不動産の手続きができません。